2012年4月25日水曜日

癌よ俺をなめるなよ:治療効果を高めるぞ!期待編


 癌(がん)化学療法の前に絶食することで、強い薬剤による細胞毒性副作用(toxic side effects)から患者を保護し、悪性細胞だけを攻撃する効果が得られることが示された。化学療法による副作用は癌治療の大きな障害の一つ。

 研究を行った米南カリフォルニア大学ノリスNorris癌センターのValter D. Longo氏によると、今回の知見は試験管レベル、および酵母とマウスを用いた実験によるもので、ヒトでは再現されていないが有望だという。この知見は米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」オンライン版に3月31日掲載された。

 Longo氏によると、今回の発想はもともとアンチエイジング(抗加齢)という異分野の研究から得たという。正常細胞にはあらゆる危険やストレスから生体を守る「防御モード」があることを突き止めたLongo氏らは、この特質を利用して、化学療法を実施する際に正常細胞と癌細胞とを区別することができないかと考えた。

 飢餓状態を模倣するよう遺伝子操作した酵母において、ストレスに対する防御が得られることが示された。その後、ヒトおよびラットの癌細胞および正常細胞でブドウ糖欠損を誘発したところ、正常細胞は毒性物質から保護され、癌細胞は保護されないことがわかった。


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 研究グループは次に、脳腫瘍細胞を注射したマウスを高用量の抗癌薬エトポシドに曝露させ、治療前に48時間および60時間の絶食させたマウスと、絶食させなかったマウスとを比較した。その結果、絶食していないマウスの43%が治療から10日以内に死亡したのに対し、48時間絶食マウスでは死亡は1匹だけだった。また、絶食マウスは治療前に体重が20%減少したが、治療後4日で元の体重に戻ったのに対し、絶食していないマウスは治療後20%の体重減少がみられた。絶食していないマウスにみられた運動障害、体毛の乱れ、姿勢の悪化などの毒性副作用も48時間絶食マウスには認められなかった。

 60時間絶食� �ウスはさらに高用量の薬剤に曝露させたところ、絶食していないマウスは5日以内に全部死亡したが、絶食マウスには死亡例はなかった。絶食による体重減少は治療後ほぼ回復し、毒性の徴候も認められなかった。Longo氏らは、短期間の絶食により正常細胞が保護され、癌細胞のみ治療することが可能と結論付け、ヒトを対象とする試験を準備しているという。

 別の専門家は、この研究を化学療法の望ましくない副作用を軽減する取り組みとして「理にかなった」もので、極めて興味深く、期待できると述べている。ただし、この方法が誰に対しても有効であるとは限らない点も指摘している。

(HealthDay News 4月1日)


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今までの抗がん剤治療で良い結果が出ていない患者には参考になるかも・・。絶食は医療行為にはならないよね。今のところはマウスでの結果だけど、害は少なそうだから自分だったら試すけどな。やれる事は総て試すよ。
正常細胞を傷付けずに済むって事は治療中の副作用も軽減されるだろうし、再発のリスクも減らせるかも。


シネマオリベイラは、病院の操作を行います

(参考資料)
治療による癌の増殖
外科手術、放射線、抗癌剤治療によって時に癌の転移が促進されることがあるが、このひとつの理由がマウスの研究で明らかになった。ドキソルビシンや放射線治療がTGF-beta(腫瘍増殖因子ベータ)値を上昇させ、乳癌細胞の肺への転移を促したが、TGF-betaを遮断する抗体を投与すると、その進行は制御された。
癌治療後に再増殖、進行することは広く認知されている現象である。原発腫瘍が他の部分での腫瘍成長を抑制しており、原発腫瘍を取り除いたり破壊したりすることによって、他の部位でのまだ発見されない小さな腫瘍の増殖を惹起するのではないかと、長年専門家は考えてきた。腫瘍の増殖と抑制にかかわるTGF-betaはその答えを握っているかも知れない。TGF-betaを抑制する抗体を投与したマウス、およびTGF-betaタンパクを欠如させたマウスではこの転移のプロセスは全く起こらなかった。
このチームでは、現在乳がん患者のTGF-beta値を測定して、TGF-betaの増加する割合、またTGF-betaを抑制する薬剤などを研究している。おそらく、治療後の増殖の原因となるものはTGF-betaだけではないと考えられ、多くの要因のひとつであろう。ロイター原文4月6日


外科手術は休眠している癌細胞の血管新生を目覚めさせるか?
原発腫瘍の摘出手術を受けた乳癌患者において休眠中の癌細胞の血管新生を呼び覚ますのではないかとの説が若年性乳癌の早期再発を裏付けていると見られる。
INTERNATIONAL JOURNAL OF SURGERY誌によると、3つの試験の解析で、外科手術のみを受けた1,173人の乳癌患者のうち再発のピークが18ヶ月後と5年後の2つあることを突き止めた。さらに調べてみると、閉経前のリンパ節転移陽性患者の20%では、腫瘍摘出手術後10ヶ月以内に再発していた。このことは40−49歳の患者に起こる「マンモグラフィー・パラドクス」を説明するものだという。検診を受けない群に比べ、検診を受けた群の死亡率が暫定的に高くなるという、理論にそぐわない現象で、このデータによると、外科手術誘発血管新生が中央値2年以内に疾病を進行させ、3年目の検診時に若い女性1000人のうち0.11人の早期死亡をもたらすと予測される。
原発腫瘍は血管新生阻害物質を分泌しているため、自然に転移を抑制している。(*過去のフォークマン記事参照)原発腫瘍を切除するとその阻害物質を排除することになり、同時に、(手術に伴う)傷の治癒のメカニズムにより血管新生促進物質が活発になる。
「癌が手術後に急激に増殖する事実は100年にもわたって観察されてきた。メカニズムは十分に解明されていないが、手術中に誤りが起こったからというのではなく、むしろこのような要因によるところが大きいと考えられる。」
ハーバードChildren's Hospital記事2005/9


治療して病院のリピーターにはなりたく無いけど治療をしないわけにはいかないし、医者にとって癌って美味しい病気なんだろうな。癌が撲滅されて一番困るのは多分医者だろう。



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